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『週刊新潮』の記事について②:「総連系の人間」と思わせようとする作為的な記事 

 『週刊新潮』の記事には、「岩波関係者」の話として、私が『世界』編集部で「“反総連の記事はけしからん!”“なぜ佐藤を連載に使うのか!”などと抗議をし」とある。私が、『世界』の誌面に、「反総連の記事」を掲載することを止めさせようとした(もしくは止めさせた)、と読める。だが、こんな事実は全くない

 これは恐らく、私が『世界』編集部在籍時、『世界』編集部員に対して佐藤優を『世界』が使うことの問題を指摘した際に、私が問題であると考える佐藤のメディアでの発言を列挙した中の一つとして、佐藤による朝鮮総連への政治弾圧の煽動発言を私が挙げたことが、歪曲して社内に伝わった、もしくはこの「岩波関係者」が歪曲して伝えたものだと思われる。そして、そこで私が批判したのは、朝鮮総連云々というよりも、佐藤のこの発言においては「国益」重視の下、マイノリティの「人権」に対して配慮する姿勢が一片も見られないことについて、である(注1)。

 私は他にも、佐藤による、イスラエルのレバノン侵略の肯定(注2)、首相の靖国参拝の肯定(注3)、首相の靖国参拝を批判する経済人への攻撃(注4)、『新しい歴史教科書』とその教科書検定通過の擁護(注5)、朝鮮半島の統一が日本の国益に適わないという主張(注6)、日朝交渉における過去清算の徹底的な軽視(注7)、などの点を指摘した。
 
 私としては、雑誌はなるべく多様な見解が載ることが好ましいとは思うが、ここで挙げた点はいずれも、この間『世界』が掲載してきたこれらの論点に関する記事・論文の論旨に真っ向から対立するものであり、かつ、『世界』としては譲れないはずの重要な論点ばかりであると思われた。右派メディアでこうした主張を展開する佐藤を、『世界』が使うのは明らかにおかしいと私は考え、佐藤を擁護する編集長、編集部員の見解を問うたが、私の異論は受け容れられなかったため、異動願を編集長に出した、というのがことの経緯である。

 週刊新潮の記事は、私が「総連系の人間」であるという印象を与え、植え付けることを狙ったものであり、私による『世界』編集部での佐藤を使うことに対して行なった批判を歪曲するものである。この記述について、どこまでが「岩波関係者」で、どこまでが週刊新潮の記者の作為かは判然としないが、少なくとも、この「岩波関係者」、もしくは『世界』編集部内で起ったことの社内の噂として伝えた人々に、私の批判をそのように歪曲する傾向があったことは間違いないと思われる。

 なお、念の為に補足しておくが、「あいつは総連系の人間」とレッテル貼りし、相手の全ての発言を封じ込めること自体が、当人が本当に総連系の人間であるか以前に、極めて抑圧的・差別的である。

(注1)佐藤は、「在日団体への法適用で拉致問題動く」として、「日本政府が朝鮮総連の経済活動に対し「現行法の厳格な適用」で圧力を加えたことに北朝鮮が逆ギレして悲鳴をあげたのだ。「敵の嫌がることを進んでやる」のはインテリジェンス工作の定石だ。/政府が「現行法の厳格な適用」により北朝鮮ビジネスで利益を得ている勢力を牽制することが拉致問題解決のための環境を整える」と述べている(<地球を斬る>2006年4月13日「北朝鮮からのシグナル」)。同趣旨の主張は、別のところでも述べている(佐藤優「対北朝鮮外交のプランを立てよと命じられたら」『別冊正論Extra.02 決定版 反日に打ち勝つ!日韓・日朝歴史の真実』2006年7月刊) 。

 警察庁の漆間巌警察庁長官(当時)は、今年の1月18日の会見で、「北朝鮮が困る事件の摘発が拉致問題を解決に近づける。そのような捜査に全力を挙げる」「北朝鮮に日本と交渉する気にさせるのが警察庁の仕事。そのためには北朝鮮の資金源について事件化し、実態を明らかにするのが有効だ」と発言しているが、佐藤の発言はこの論理と全く同じであり、昨年末から激化を強めている総連系の機関・民族学校などへの強制捜索に理論的根拠を提供したのではないかと思われる。実際、佐藤自身も、「法の適正執行なんていうのはね、この概念ができるうえで私が貢献したという説があるんです。『別冊正論』や『SAPIO』あたりで、国策捜査はそういうことのために使うんだと書きましたからね。」と、その可能性を認めている(佐藤優・和田春樹「対談 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)問題をどう見るか」『情況』2007年1・2月号)。

 ちなみに、『情況』での対談で佐藤の発言を黙認した和田春樹は、その後、論文「安倍路線の破産と新朝鮮政策――拉致問題、核問題をどう考えるか」(『世界』2007年12月号)で、以下のように述べている。

「安倍首相と漆間警察庁長官が推進した対北朝鮮圧力としての在日朝鮮人とその団体に対する圧迫をやめなければならない。安倍内閣の「拉致問題における今後の対応方針」(昨年10月16日)第3項「現行法制度の下での厳格な法執行を引き続き実施していく」は数々の不当な恣意的な圧迫を生み出した。これをやめなければならない。在日朝鮮人をわれわれのコミュニティの一員と考え、「共生」の道を求めていくべきである。」

 この和田の主張と当時の私の主張は、ほぼ同じである(「われわれのコミュニティの一員」という表現はさておき)。違うのは、私の発言は、弾圧の真最中でのものだったことに対し、和田の発言は、弾圧が小康状態にある中でのものだという点だ。要するに、私が、佐藤による朝鮮総連への政治弾圧の煽動発言を問題にしたことは、『世界』の雑誌の傾向とも基本的に合致しているのであって、これについて、「“反総連の記事はけしからん!”」と私が言っていたとするのは、岩波書店社内で発言の歪曲が行なわれていると言わねばならない。
 
(注2)「イスラエル領内で勤務しているイスラエル人が拉致されたことは、人権侵害であるとともにイスラエルの国権侵害でもある。人権と国権が侵害された事案については、軍事行使も辞せずに対処するというイスラエル政府の方針を筆者は基本的に正しいと考える」(<地球を斬る>2006年7月6日「彼我の拉致問題」。以前はここで見れたが、現在は見れないようだ。単行本化されたものに多分収録されている)。

(注3)「弥縫策で負のエネルギーをため込むよりも、この辺で小泉総理(注・当時)が正々堂々と靖国神社を参拝し、正面から中国や韓国と対峙することを通じて、日本国家がどのように近隣条項と付き合うべきかを徹底的に考えた方が良いと思います。そこから日本国家のあり方、つまり国体を日本人が真剣に考え、「誠心」を見出すなら、中国や韓国の名誉と尊厳を担保しつつ、日本の名誉と尊厳を維持、発展させる道を見出すことができると私は信じているんですよ」(佐藤優『国家の自縛』扶桑社、2005年9月、77頁)。

(注4)「小泉総理の靖国参拝はいけない、などということを言う変な経済人の連中は、日本人でありながら日本国家観よりも自分の企業の利益を重視してるわけなんです。経済と政治の結び付きがわかっていないので、経済人としての発言が政治的に日本国家に与える影響を過小評価している」(『国家の自縛』228頁)。

(注5)「『新しい歴史教科書』はちょっとロマン主義的な雰囲気がありますが、読みやすくて、おなかに入る、いい教科書だと思いますよ。お世辞じゃなくて。・・・教科書問題は公共圏で自由な討論を通じ、そして受験を含む教育の世界での自由競争の原理で処理するのが良いでしょう。外国にとやかく言われるような筋合いの話ではありません」(『国家の自縛』68頁)。

(注6)「日本としては朝鮮半島の統一問題について明確な戦略図を描いていないと思いますが、近未来に日朝国交正常化がなされるならば、結果として朝鮮の統一は遠のきます。これは日本の国益に適うと思います。/誤解なきように追加説明をしておきますが、私は朝鮮半島の統一に反対しているわけではありません。北東アジア地域の構造が変化し、関係国・地域(米国・中国・台湾・日本・ロシア・北朝鮮・韓国・モンゴル)の間に信頼醸成がなされる過程で朝鮮半島の統一が現実的問題になると思います。しかし、それは中期的スパンでは予測できないというのが現下の情報専門家の標準的な見方だと思います」(『国家の自縛』45頁)。

後に、佐藤はベールをかなぐり捨てて、以下のように述べている。

「僕(注・佐藤)は、朝鮮半島が統一されて大韓国ができるシナリオより、北が生き残るほうが日本には良いと思う。統一されて強大になった韓国が日本に友好的になることはあり得ないからね」(<緊急編集部対談VOl.1 佐藤優×河合洋一郎>雑誌KING(講談社)ホームページより。現在は、キャッシュでしか見れない)。

(注7)「田中均氏は歴史に対する思い入れが強すぎる。筆者はもっと「乾いた外交」が国益に貢献すると思う。「日本による植民地支配で苦しんだ人がいたり、数十万の朝鮮半島出身者が日本にいたり」といった要素を外交交渉にどのように組み込むかについては、入念な戦略が必要だ。歴史は一つではない。過去のどの事実をつなぎ、どの事実を捨象するかで全く異なった歴史ができてくる。・・・「全ての道は拉致問題の完全解決につながる」という観点から、利用できる過去の歴史的事実があればそれを使えばよいというプラグマティックな方針を堅持することだ。」(佐藤優「対北朝鮮外交のプランを立てよと命じられたら」)

(金光翔)
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[ 2007/11/30 01:10 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)


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