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岩波書店経営陣の呆れた主張――「時間外労働の過去清算」問題について 

岩波書店の経営陣が、また呆れた主張を展開している。

労働基準監督署の指導に基づき、岩波書店は2012年11月から新しい勤務体系に移行するが、岩波書店経営陣は岩波書店労働組合執行委員会に対し、9月27日午後4時からの臨時経営協議会で、これまでの「時間外労働に対する過去清算」を提案した。以下、この件について詳しく書いている、同労組執行委員会が発行した、「執行委員会ニュース」第6号(2012年10月3日発行)から適宜引用する。

経営陣の提案内容は、

「2012年10月以前(11月の正式施行以前)の時間外労働の清算として、社員全員に一律15万円を支払う。ただし在職期間2年に満たない方は、在職月数に応じた比例配分にしたい。また過去2年間に産休・育児休職・介護休職・病気休職・病気欠勤をした方は、その休んだ月数に0.5を乗じた月数を引いて比例配分することにしたい。」

というものであった。そして、経営陣は、一律15万円とした理由として、「客観的根拠があり、公平性があり、なおかつ実行可能なものを検討したが難しかった。会社が法的に負うべき過去2年間について、タイムレコーダーの記録、休日出勤届をもとに一人ひとり労働時間を推定し、精算方法を検討した。しかし検討していくにつれ、客観性と公平性を満たせないことがわかった。」「客観的な記録がなく、客観性、公平性が確保できない」と述べたとのことである。

だが、冗談も休み休み言え、と言いたい。

「岩波書店、労働時間管理記録を労基署に対して隠蔽」
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-32.html

で詳しく書いたが、会社は、夜間受付で記録されている社員の退社時刻記録に基づいて、私に残業代を支払ったのである。会社はこの退社時刻記録の労働時間管理記録としての有効性を認めたのであるから、これに基づいて全社員に残業代を支払えば済む話である。「客観的な記録」が明確に存在するではないか。しかもこの退社時刻記録は、私が聞いた時には少なくとも過去数年分は保管されているという。会社の理屈からすれば、2012年10月以前過去2年間では労働時間の把捉が難しい社員は、それより以前の任意の2年間の残業代を支払われてもよいはずである。

また、「客観性、公平性が確保できない」と言うが、私の場合、自分で平均的な出勤時刻を設定し、会社から承認を受け、その出勤時刻から10分後を労働開始時刻として、そこから夜間受付記録の退社時刻の10分前までを労働時間とみなして支払額は計算された。大多数の社員の大多数の勤務日については、この方式で把捉できるのであり、社外での勤務等の例外については別途会社が金額を設定すればよい。簡単な話である。

そもそも「公平性」を持ちだして支払い額を限定する理屈が自体がおかしいのである。会社は2年間の支払義務があることは認めているのであるから、上記の退社記録(またはタイムカード)に基づき、労働時間を把握できる社員(これが大多数である)に対して全額支払った上で、それでも労働時間の把握が難しいケースに関して交渉等により支払い額を設定するのが筋である。「公平性」のために支払額を限定する、など本来出て来ようがない。

また、会社は、一律15万円とした理由として、会社の「支払い能力」を挙げている。だが、そもそも過去2年間分の残業代精算は、「支払い能力」以前の法的義務である。

また、「支払い能力」を云々するならば、なぜ役員退職金の放棄や、役員報酬・賞与のカットという、経営状況が苦しい会社ではごく当然のことが行なわれないのか。経営陣は、社員として勤務した分の退職金は既にもらっているのである。岩波書店でも、これまで、責任感から自発的に放棄した役員も過去には存在したと聞いている。当時よりも経営状況が悪化している現在、なぜそれを自発的に行なおうとしないのか。自分たちがやるべきことを回避して、労働の正当な対価であり、しかも支払いの法的義務がある残業代をまともに払おうとしないというのは、どこまで腐敗しているのか、と言わざるをえない。

そもそも、今年2月の縁故採用の問題に関しても、普通の会社ならば、問題が露見すれば、謝罪して終わらせようとするだろう。ところが経営陣は、恐らくネット上の支持者たちの応援を真に受けて、自分たちの責任逃れのために、縁故採用を開き直るという最悪の挙に出たのである。このことは、会社の社会に対する信頼性を失墜させたのであって、最近の経営状況の極端な悪化にも大きな関係があると私は考える。この人々は、数年で会社を離れることもあり、自分たちの私利を共同で防衛することしか考えていないのではないか。しかも、本屋に押し付けるために企画点数を増やす、以外にほとんど何一つ経営方針を持っていない。

なお、経営陣と執行委員会のやりとりの中には、以下のような一節がある。

「<組合>ある社員については精算したように、自分も要求したいという人がいたら、会社はどうするのか。

(沈黙)」

この「(沈黙)」から察するに、会社はこの問いに対して答えられなかったようである。答えられないのは当たり前で、そのような要求があれば、退社記録に基づいて全額払うしかないからである。

むしろ私は、会社がわざわざ過去清算などを持ちだしてきたのは、法的義務云々よりも、私以外の社員が、上記の首都圏労働組合ブログの記事を読んで、岩波労組には秘密にして、会社に個別に残業代を請求するケースが(複数)あったからではないか、と推測している(退職する場合は、特に言いやすいだろう)。以前に労働基準監督署から聞いた話によれば、会社は自分から2年間分全社員に対して残業代を支払う義務はないが、社員から要求があれば、2年間分支払わなければならない法的義務がある、というものである。本来は、残業代を貰いたいならば自分で請求し、貰いたくないならば請求しなければよい、で済む話なのである。会社は自分からは支払うなどと言いださなくてもよいのに、なぜ提案してきているのか。退社記録を基にして残業代を要求する社員が私以外に現れているから、その拡大を防ぐために、一律15万円で「清算」しようとしている、ということではないか。

なお、上の「ある社員」とは私のことだが、このやりとりの中では、私の件がもう一度登場する。

「<組合>先にこの問題を指摘した社員にはそれなりの実労働把握をして支払ったのではなかったか。それとの整合性は?

<会社>詳しくは申し上げられないが、労基署の指導もあり、専門家にも相談した結果、ある方式で計算し2010年5月以前の精算として済ませた。社員全員へとなると難しい。今回、社員に対してちょうど2年間の精算としなかったのは、そのかかわりもある。」

「詳しくは申し上げられない」も何も、私は上記記事で詳細を書いているのでそれを読めばよい。それよりここで重要なのは、会社が、私にこの件に関するお金を払いたくないがために、「社員に対してちょうど2年間の精算としなかった」と公然と発言していることである。

会社はその提案において、新入社員や休職者等に対しては、2012年10月以前過去2年間の枠内で精算するとしているのであり、私が以前にもらった残業代は2010年5月以前過去2年間分であるから、今回も、2012年10月以前過去2年間分に関する「過去清算」額が支払われなければならないだろう。ところが、15万円は「社員に対してちょうど2年間の精算」額だとして支払ってしまうと、私に改めてそのように支払わなければならなくなってしまうから、そのようにはせずに、「2012年10月以前」と開始時期を定めずに設定した、と言っているのである。ここまでして私への嫌がらせをしたいかと、もはや狂気すら感じさせられる。

岩波労組執行委員会も情けない。「客観的な記録がない」などと会社が公然と支離滅裂な主張を展開し、「ある社員については精算したように、自分も要求したいという人がいたら、会社はどうするのか。」という当然の疑問に対して答えられないという醜態を会社がさらけ出しているにもかかわらず、全く突っ込めていないからである。なぜ退社記録に基づいて支払わないのか、私以外に払った事例はあるのか、という当然の疑問すら問うていない。役員退職金の放棄もしない経営陣が、「支払い能力」を盾に、社員の正当な労働対価を要求する権利を消滅させようという許し難い行為に対して、これまでどおり御用組合らしく、会社の言い分を基本的に認めるのか。見ものである。


(金光翔)
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[ 2012/10/11 00:00 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)


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