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岩波書店、労働時間管理記録を労基署に対して隠蔽 

1.

2月2日に、岩波書店は私の個人ブログ「私にも話させて」を全面的に検討した結果として、いくつかの記事の記述について、ブログ上での訂正と謝罪を要求してきた。岩波書店の出版物に対する誹謗中傷を理由としたものが3箇所、岩波書店の経営状況に関する情報漏洩を理由としたものが2箇所、虚偽の記述を理由としたものが1箇所である。

しかも、2月25日の宮部信明専務取締役と小松代和夫総務部長(取締役)によれば、1番目と2番目についても、単なる訂正だけではなく、ブログ上での謝罪が会社としては絶対に譲れない要求だ、とのことである。

3番目の虚偽の記述を理由としたものに関しては、確認したところ、私の落度であったことが判明したので仕方がないが、1番目と2番目については、そもそも不当な干渉であり、かつ、謝罪など論外の内容である。今後、この首都圏労働組合特設ブログ上でその不当性を明らかにしていく。

それはさておき、会社がこのような強硬姿勢に出てきたのは、実は前段階があるのである。以前、2010年9月29日の記事「岩波書店、ブログ記事に対して一部削除を要求」で、会社が、ブログ「私にも話させて」の記事の一部に対して削除を要求してきたことを書いた。

これについては、「岩波書店、ブログ記事に対して一部削除を要求」で述べた理由で、削除を拒否してきたのだが、会社は、11月になって、今度は別の「社員の名誉棄損」などという理由を付けて、改めて一部削除を要求してきた。

別に削除する必要はなかったのだが、後述する理由から、私は会社に対して大きな「カード」を得たと思っていた(誤解していた)ので、今後は会社もこれまでのような弾圧・嫌がらせはやってこれないだろう、会社の顔も少しは立ててやろう、などと高をくくり、12月27日に当該記事の記述を訂正した。

ところが、会社はこの私の訂正を誤解したらしく、今回のような不当干渉という形で攻勢をかけてきたようである。私が浅はかだったと言わざるを得ない。したがって、訂正した12月27日の記事を再び、元の記事に戻すことにした。

また、私が「カード」になったと思ったものは、会社に対しては全然効果がなく、会社としても大して気にとめていないらしいことも判明したので、ここにその内容を明らかにすることにした。なお、岩波書店社員以外の人には、あまり面白くないかもしれないので、次の「2」は飛ばしていただいてよい。


2.

以前書いた記事「岩波書店、労働基準法違反により、労働基準監督署より行政指導を受ける」で、私の残業代の要求について、会社が2010年6月25日に回答したことを記した。この協議には長い続きがあって、ようやく妥結したのは11月29日である。

上の記事でも書いたが、6月25日の回答は、私が6月2日に対して行なった要求、22時以降の退社記録と社外食事届の記録に基づく残業代の支給要求へのものである。この回答では、過去2年間分の22時以降の退社記録に応じた額は支払うが、社外食事届の記録については時間が特定できないので残業代は支払えない、とのことであった。

私は、社外食事届の記録については、22時以降の退社記録との重複日は除き、日数に1時間半分の残業代を掛けて支給するよう求めていた。重複日を除けば、日数としてはたかだか5日でしかないから、額としては大したものではないかもしれない。だが、会社が、通常、社外食事届が職制によって認められるのは1時間半以上の残業がある場合であることを認めている(6月25日)にもかかわらず、その最低限の額たる1時間半の残業代を支払わないというのは明らかにおかしい。私は、社外食事届の記録がある分に関して1時間半分支払うよう、改めて要求した。

しかし、一向にらちがあかないので、8月2日に新しい要求を行なった。それは、社外食事届記録に基づいた支給の要求は一旦取り下げるかわりに、この協議が妥結した後の2年以内に、私以外の社員に対して社外食事届記録その他の基準に基づいて残業代を支払うケースが生じた場合、私に対してもこの協議とは別で、同じ基準を適用して支払って欲しい、ただし、この協議で会社が支払う旨述べている22時以降の退社記録がある日については適用しないでよい、というものである。だが、会社は8月10日、この要求をも拒否した。

その後、私の多忙もあり、この件はしばらく保留状態だった。私は会社の主張をどう突破するかをいろいろ考えたが、なかなか良い知恵は出てこなかった。

だが、秋のある日、いつもどおり会社を出る際に、あることに気づいた。岩波書店では、定時の16時15分以降は、社員は従業員用の出入口から出入りすることになる。出入口には夜間受付の事務員が16時15分から22時まで在席している。22時以降は出入口にあるノートに名前、退社時間を記して退社する(ドアの自動ロックなど、防犯はなされている)。

私が退社する際、夜間受付の事務員が、メモをしている。これ自体は入社以来、見慣れた光景である。だが、少し引っかかるところがあり、事務員に質問した。いつも社員が会社を出る際にメモをしているようだが、それは、社員ごとに退社時間を記録しているのか、と。

すると、この事務員は、そうだと言う。私が、社員といっても200名近くいるのであるから、一人一人の社員の顔を判別できるのかと聞くと、できます、大変でしたが、全員の顔を覚えるまで既に全員の顔を覚えている人と一緒に夜間受付を担当しますから、と言う。私が、いつ頃からそのようなことをやっているのか、また、会社にはその記録は報告しているのかと聞くと、もうずっと前からで、いつからは自分も知らない、会社の総務部には月ごとに記録を提出している、と言う。

とすれば、この記録が存在することが確認できれば、会社の、時間が特定できないから社外食事届が出されている日の残業代は支払えない、などという主張を崩すことができるのである。そこで私は、10月12日に、22時以降の退社記録がある日以外の日の残業代に関する、以下の項目を含む要求書を会社に渡し、10月19日までに回答することを求めた。


「一、岩波書店においては、社員が業務用出入ロから退社する際、夜間受付係が、退社する社員の顔を確認し、その社員の退社時間を記録することが行なわれています。その記録に基づき、回答書の第1項(注・22時以降の退社記録がある日の残業代に関する項目)に記された期間「2008年6月以降」の2年間における私の残業代を、同項の支払基準・計算方式に基づき、私に全額支払うよう求めます。」


ここで私は、要求を一旦変えることにした。要するに、退社時間記録が存在するのだから、社外食事届云々とは無関係に、その記録に基づいて全額支払ってほしい、ということである。

応対した役員は臼井幸夫経理部長(取締役)、小松代総務部長であった。呆れたことに、私が要求の根拠として、夜間受付から聞いた内容を述べると、小松代総務部長は、「夜間受付でそれを言ったのは誰なんだ」と犯人探しを行なってきた。当たり前であるが私は答えることを拒否した(そもそも名前も知らない)。私が、そのような記録はあるのかと聞くと、小松代総務部長は、今は答えられない、後日回答すると述べた。

ところが、10日後の10月22日(金曜日)になっても会社は回答しなかった。そこで私は、この件を担当している労基署職員に電話して状況を報告し、社員全員の退社記録が存在する旨を述べた。職員は、「そんなことは全然聞いていない」と大変驚いていた。

10月25日(月曜日)に職員から連絡があり、職員が会社に電話したところ、小松代総務部長が応対したとのことであった。そこで小松代総務部長は、夜間受付の社員全員分の退社時間記録は少なくとも過去数年分は存在する、ただしそれは施設管理用の記録であって労働時間管理の記録ではない、と述べたとのことであった。

私は、会社が記録の存在をあっけなく認めたことに驚いた。会社は労働時間管理の記録ではないと主張しているが、それを言い出せば、労基署の行政指導が入る前の会社の4月16日の回答書でも、22時以降の残業代について、「社員の労働時間管理上の資料ではありませんのでお答えしかねます」などと回答を拒否していたのである。行政指導後は支払う旨述べているのであるから、会社の言う「労働時間管理上の資料」とは一体何なのか、ということになる。

会社は悩んだようで、回答が出されたのは11月19日(金曜日)であった(臼井経理部長・小松代総務部長)。当初の回答要求日から1か月以上経っている。そこには、社外食事届の出された日に関しては、夜間受付にある「業務メモ」を参考にして別紙のとおり支払う、とされていた。ここでの「業務メモ」とは、すなわち、上で述べた退社時間記録のことである。

そして、別紙では、「社外食事届当日の記録メモ」という欄に、私が社外食事届を出した日の「退館時刻」が記されており、別の欄には、その時刻に基づいて計算された日ごとの残業代の額が記されていた。また、「記録メモから実質の業務開始および終了との差分各10分間を差し引く」とされていた。

例えば、「退館時刻」が「20時20分」の日は、20時10分までを労働時間とみなし、その時間を基に残業代が計算されていた。平日を1とすると、土曜日は1.25、日曜日は1.35の割合で計算されていた。

要するに、会社は、退社時間記録が「労働時間管理上の資料」であることを認め、その記録に基づいて残業代を支払うと回答したのである。

だが、前述のように、10月12日の要求書は、社外食事届のある日とは無関係に、退社時間記録に基づいて全額残業代を支払ってほしい、というものである。私はそのことを指摘し、社外食事届のある日以外の日の残業代はどうなるのか、質問した。

すると、驚いたことに、会社は、以下の内容の回答を行った。「自分たちはそのような要求であるとは認識していなかった。言われてみて要求書を改めて読み返してみると、確かにこれは金の言うとおりの要求内容が書かれていると解釈するのが妥当である。自分たちは、これまでの流れで、社外食事届のある日の残業代について夜間受付の「業務メモ」の記録に基づいて支払え、という要求であると誤解していた。もう一度検討するので、今日の回答は撤回することにしたい。また、そのような要求内容であれば、「業務メモ」に基づいた残業代の計算にかなり時間がかかるので、再回答には少し時間が欲しい」と。

役員7名が私の要求書を読んだにもかかわらず、全員が、私の要求書の要求内容を「誤解」していたという。そんなことが常識的に考えてありうるのだろうか。不可解な話ではあるが、撤回するというので、とりあえずこの日はそれで終わり、会社の再回答を待つことになった。

だが、改めて考え直して、私はこの会社のこの回答で妥結すべきだと考えた。理由はいくつかあるが、最も大きなものは、会社が次に再回答する際に、夜間受付の退社時間記録に基づいて残業代を支払うことをやめる可能性があるからである。

実は、労基署によれば、会社側が当初主張していたように、夜間受付での記録は労働時間管理の記録ではないから、それに基づいて残業代を支払う義務はない、という主張も法的には成り立ちうるらしいのである。私はそれを聞いていたので、会社がこのような回答をしてきたことに大変驚いていたし、私が報告した労基署の職員も驚いていた。

夜間受付記録を参考にするとしても、例えば、私が当初主張していたように、社外食事届が出された日の残業代については一律1時間半分の残業代を支払う、という選択肢もあり得たのである。むしろ私は、会社はこれで来る可能性が高いと考えていた。ところが、会社は夜間受付記録の退社時刻に基づいて残業代を支払うことを選択したのである。

いかなる理由で会社が、夜間受付記録が労働時間管理の性格を持つことを認めたのかは不明である。単純に、それに基づいて支払う義務はないことに確信が持てなかったのではないか、というのが最もありそうな答えなのだが、いずれにせよ、再検討されてこれが覆されては困る。私は、11月22日(月曜日)に、19日に会社が「誤解」に基づいて出してきた回答で妥結したい旨を述べ、会社も了承し、29日にようやく、この協議は妥結することになった。そして、この妥結に基づき、12月24日の給料日に、11万2410円が振り込まれた。


3.

長々と経過を書いたが、なぜ夜間受付の退社時間記録に基づく残業代支払いを会社が認めたことが重要かを記しておこう。

会社は、少なくとも過去数年間分について、この退社時間記録が存在することを認めており、しかも、今回の妥結によって、労働期間管理記録としての有効性を認めたのであるから、仮に今後、岩波書店社員が、この記録に基づく過去2年間分の残業代および割増賃金の支払いを会社に求めた場合、会社は自動的に支払う義務を負ったことになるのである。

岩波書店では、慣習上、社員の出勤時間は部署ごとに大幅に異なるが、これは問題ではない。自分の平均的な出勤時刻を設定し、それに基づいて計算してほしい旨を伝えればよい。私の今回の件も、自分で平均的な出勤時刻を設定し、会社から承認を受け、その出勤時刻から10分後を労働開始時刻として、そこから夜間受付記録の退社時刻の10分前までを労働時間とみなして計算されている。

また、会社は夜間受付記録の労働時間管理記録としての有効性を認めたのであるから、だとすればなぜ、2010年5月21日の労基署による行政指導の際またはその後、労基署に対してその存在を報告しなかったのか、ということになる。会社は、労働時間管理記録を労基署に対して隠蔽していたことになる。

以上のような件があったので、私は会社に対して大きな「カード」を得たと誤解したのである。今回の会社による強硬姿勢の結果、私がこの件について書くことは当然予測されたであろうから、会社は、今後生じうる過去2年間分の残業代・割増賃金の支払い自体は、大した負担ではないと考えているということである。

現在、会社は岩波書店労働組合との間で、労使協定の締結のための協議を進めているが、会社案は、驚くことに、編集職の社員全員を裁量労働制にするというものである。これでは「社員の超過労働問題」が改善するはずがないし、会社が本音では問題とすら思っていないことがあからさまに露呈している。岩波書店労働組合が御用組合ではなく、本気で社員の超過労働状態が問題であると考えているならば、過去2年間分の残業代・割増賃金の支払いを会社に要求することを組合員に対して積極的に推奨して、会社に対して多少なりとも圧力をかけるのが筋ではないのか。


(金光翔)
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[ 2011/03/03 00:00 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)


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