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就業規則改定に至る流れ(簡易版まとめ) 

2007年11月前半;『インパクション』第160号に、金光翔氏の論文「<佐藤優現象>批判」が掲載される。

2007年11月29日;記事「「佐藤優」批判論文の筆者は「岩波書店」社員だった」が掲載された『週刊新潮』2007年12月6日号が発売される。

2007年12月5日;岩波書店、金氏に、論文に対して「口頭による厳重注意」を下す。

2011年3月29日;岩波書店労働組合、形式的には岩波労組員であった金氏を除名。

2011年4月1日;岩波書店、金氏に対し、このままならばユニオンショップ制の労働協約に基づいて金氏を「解雇せざるを得ない」と通告。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-34.html

2011年5月24日;岩波書店、ようやく首都圏労働組合を団交相手として認め、金氏の解雇はとりあえず回避される。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-37.html

2013年1月24日;岩波書店と岩波書店労働組合との間で、過去の時間外労働の未払い分として、希望者に15万円を支払うことが妥結される。支払いの際には、社長が一人一人に声を添えて渡すことも決められた。

<岩波書店においては残業代、休日出勤に対する特別手当が、金氏の要請を受けて労働基準監督署が介入するまで、存在しなかった。会社は、15万円を、岩波書店労働組合員ではない、部長・副部長・課長にもそれぞれ支払った。>


2013年3月8日;岩波書店、金氏に対する時間外労働の未払い分の支払いを拒否。

<会社は2010年12月24日に、2008年6月から2010年5月までの期間の時間外労働未払い分として、金氏に11万2410円を支給した。そこで金氏 は、15万円との差額分を支払うよう2013年3月1日に求めたが、会社は既に支払ったとして差額分の支払いを拒否した。会社は、金氏以外の社員約200 人全員、しかも割増賃金を貰っているはずの、岩波書店労働組合員ではない部長・課長も含めた全員に、希望があれば15万円を支払う旨を伝えているにもかか わらず、金氏にだけは、支払わないと言っているのであり、これは明白な嫌がらせである。>
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-44.html

2015年4月10日;岩波書店、大幅改定した就業規則を公布。

(首都圏労働組合)
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[ 2015/05/13 01:01 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)

就業規則改定に至る流れ(通常版まとめ)  

2014年4月10日に、岩波書店で、大幅に改定された就業規則が公布されました。これまで当ブログで報じてきた「案」段階のものからは一部、変更点がありますが、言論弾圧の危険性等の問題点に関して、本質的な変更はありません。

今回の就業規則改定は、一つの画期であると思われますので、この機会に、これまでの岩波書店による、当組合の組合員である金光翔氏への不当な処遇の主な流れを、当ブログの記事を紹介しつつ、振り返りたいと思います。

当ブログは、岩波書店社員の金氏が『インパクション』第160号(2007年11月刊)に、「<佐藤優現象>批判」を発表した後、『週刊新潮』2007年12月6日号に掲載された記事「「佐藤優」批判論文の筆者は「岩波書店」社員だった」 に対して金氏の名誉と尊厳を守るため、当該記事等への反論・批判を掲載するものとして、発足しました。

岩波書店は、『週刊新潮』編集部に抗議することもせず、それどころか上記の『週刊新潮』の刊行に便乗するような形で展開された岩波書店労働組合による嫌がらせを放置した上で、
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-8.html

金氏に「厳重注意」処分を下しました。これ自体が、不当なものであると言えます。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-10.html

また、『週刊新潮』記事に関しては、法廷で『週刊新潮』記者が取材経緯を明らかにした際、記者は、岩波書店社員が『週刊新潮』編集部に連絡してきたのが記事作成のそもそもの発端であると証言しており、また、取材にあたっては、この岩波書店社員が他の社員を紹介した、と証言しています。
http://watashinim.exblog.jp/11004396/

金氏はこの証言を受けて、岩波書店に、『週刊新潮』への通報者の調査と、会社がそのような通報に対して遺憾の意を持っていることを社内に周知徹底すること、再発防止策をとることを求めましたが、会社は全て拒否しました。これは、会社が密告を容認することに等しい行為であると言えます。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-25.html

また、岩波書店労働組合は、2011年3月29日に、形式的には岩波書店労組員であった、金氏を除名しました。これを受けて、4月1日に会社は、このままならばユニオンショップ制の労働協約に基づいて金氏を「解雇せざるを得ない」と通告してきました。また、「貴殿が他の労働組合に加入しているか否かを確認の上、最終判断をします」として、首都圏労働組合の存在を現時点では認めないので、組合員名簿その他を4月11日までに会社に提出するよう主張しました。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-34.html

しかし、労働組合というものは会社が存否を判断する権利があるものではなく、組合員名簿の提出は、労働委員会の資格審査ですら提出を求められないものです。他組合に加入している場合、ユニオンショップ制に基づく解雇が認められないことは、判例で確定しており、会社が解雇しなければならない義務などありません。会社は「最終判断」をだらだらと引き延ばし、5月24日になってようやく、首都圏労働組合を団交相手として認め、金氏の解雇はとりあえず避けられました。会社の行為は金氏への嫌がらせそのものであると言えます。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-37.html

なお、岩波書店労働組合からの除名の背景として、金氏への岩波書店労働組合の嫌がらせがどれほど露骨なものかは、岩波書店労働組合の社内配布文書によく現れています。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-29.html

また、2013年1月24日に会社と岩波書店労働組合との間で、過去の時間外労働の未払い分として、希望者に15万円を支払うことが妥結されました。岩波書店においては残業代、休日出勤に対する特別手当が、金氏の要請を受けて労働基準監督署が介入するまで、存在しなかったのです。支払いの際には、社長が一人一人に声を添えて渡すことも決められました。また、会社は、これに合わせて15万円を、岩波書店労働組合員ではない、部長・副部長・課長にもそれぞれ支払いました。

会社は2010年12月24日に、2008年6月から2010年5月までの期間の時間外労働未払い分として、金氏に11万2410円を支給していました。そこで金氏は、15万円との差額分を支払うよう求めましたが、会社は支払いを拒否しました。会社は、金氏以外の社員約200人全員、しかも割増賃金を貰っているはずの、岩波書店労働組合員ではない部長・課長も含めた全員に、希望があれば15万円を支払う旨を伝えているにもかかわらず、金氏にだけは、支払わないと言っているのです。これは明白な嫌がらせであり、公然たる差別行為であると言えます。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-44.html

また、金氏が2013年12月12日に公表した記事に対して、会社は、2013年12月27日付で金氏が「職員として対外的に公表すべきでない会社の経営状況に関わる記述を掲載した」と社内で告知して、減俸処分の処罰を下しました。

しかし、元の記事は、岩波書店労働組合が社内で配布した文書を基に、経営者の経営責任を問うたものであって、会社の機密を外部に漏らすようなことは、内容的にも形式的にも何ら行なっていません。そのことは会社もよく認識しているはずです。なぜならば、社員就業規則(当時)には、「職員は、会社の機密を外部に漏らしてはならない。」という規定が存在するにもかかわらず、会社はこの規定を適用せず(できず)、「会社の名誉をきずつけまたは会社に損害を与えるような言行を慎まなければならない。」という、恣意的に適用可能な規定に基づいて、処分を下しているからです。金氏は、会社の主張する「対外的に公表すべきでない会社の経営状況に関わる記述」なるものが、いかなる意味で「公表すべきでない」かについても、いかなる意味で「会社の信用を棄損する行為」であるかについても説明すら受けていません。

岩波書店は、金氏が会社の機密を外部に漏らすようなことは行なっていないことを知りながら、あたかも金氏がそのような行動をとったかのごとく主張することで金氏の名誉を傷つけようとしたと言えます。

しかも、会社が2013年12月17日に金氏に記述の修正を求めた際、「会社のこの深刻な経営状況を理解してほしい。このような状況でこのようなことが書かれると困る」と言っていたため、金氏は会社への協力の意志から記述を修正しました。にもかかわらず、結局は減俸処分を下したのは、金氏の善意を愚弄したものと言われても仕方がないのではないでしょうか。下の記事はこうした経緯に基づき、修正された後のものです。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-46.html

また、今回の就業規則改定の背景として、金氏がウェブ上で、経営陣にとって極めて都合の悪い指摘を行なってきたから、という側面もあると思われます。

2011年5月のブログ記事では、2005年8月に岩波書店が行なった全国42紙全面広告の不透明な背景が指摘されています。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-36.html

2012年2月に岩波書店の縁故採用が社会的に広く報道された際には、会社のメディアへの弁明が実態と乖離していることを、内部文書を引用しつつ金氏は指摘し、縁故採用の応募条件を撤回するよう主張しています。なお、この内部文書に関しては、2012年2月21日の毎日新聞東京版夕刊で、比較的詳しく報道されています。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-38.html

以上のような金氏への嫌がらせ・不当な処遇が行き着いた結果として、今回の就業規則改定が行なわれたと見るべきであると考えます。

(首都圏労働組合)
[ 2015/05/13 01:00 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)

岩波書店就業規則改定案の本質 

今回の岩波書店の就業規則改定案の主要な目的の一つが、経営陣に対する批判(例えば、当ブログの記事「岩波ブックレット『憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言』をめぐる一件」 を参照)の封殺にあることは確実であろう。だが、問題点は、それにつきない。以下、改定案の問題点を、いくつかの面から指摘し、その本質を浮かび上がらせたい。

1.「職員就業規則等」なる言葉

まず、「法の支配」という観念すら欠いているように思われる点を指摘しなければならない。

懲戒解雇(現行規則では「懲戒解職」)を含めた懲戒の規定に関して、現行規則第41条では「職員就業規則に違反した場合」となっているのに対し、改定案第41条では、「職員就業規則に違反した場合」となっている(強調は引用者、以下同じ)。

改定案第1条の2では、「この規則には別に定める諸規則が付属し、それらを含めて就業規則という。」とあるので、ここでの「等」には、「別に定める諸規則」は含まれないはずである。つまり、会社は就業規則に基づかず、恣意的に懲戒をするか、将来的には多数派組合の同意を必要としない命令を公布し、それにより懲戒を行うことができる余地を残している、ということだと思われる。改定案のファシズム的な性格を象徴している。


2.懲戒

「罰」を定めた第41条は、現行では「職員就業規則に違反した場合には、その程度に応じ、譴責、減俸、懲戒休職、停職、懲戒解職等の方法によって処分する。」としか規定されていないが、改定案では以下のようになっている。

<第41条 職員就業規則等に違反した場合には、その程度に応じ、譴責、減俸、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇の方法によって処分する。
 ②  前項の処分に関する規定は、第41条の2から第41条の9に定める。

第41条の2 懲戒処分の種類は次のとおりとする。
 1.譴責
   文書によって将来を戒める。
 2.減俸
   減俸する。ただし、減俸の額は労働基準法第91条の定めによる。この場合、総額が月額給与の1割を超えたときは超えた額について翌月の給与から減給し、更に残額があるときは以後もまた同様とする。
 3.出勤停止
   10日間を限度として出勤を停止し、その間の給与はその全額を支給しない。
 4.降格
   役職を下げる。これに伴い給与を変更することがある。
 5.諭旨解雇
   退職願を提出するように勧告する。退職金は一部支給することがある。退職願を提出しない場合は懲戒解雇する。
 6.懲戒解雇
   即時解雇し退職金を支給しない。所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合は解雇予告手当も支払わない。

第41条の3 職員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責、減俸、出勤停止、降格とする。
 1.正当な理由なく、就業規則およびその付属規定に違反し、あるいは会社の指示に従わなかったとき
 2.第10条第2項に定める機密を故意に漏洩し、会社に損害を与えたとき
 3.正当な理由なくしばしば、遅刻、早退するなど勤務を怠ったとき
 4.虚偽の申告、届出を行ったとき
 5.職務上の指揮命令に従わず、職場秩序を乱したとき
 6.素行不良で会社内の秩序もしくは風紀を乱したとき
 7.その他前各号に準ずる行為があったとき

第42条の4 職員が次のいずれかに該当するときは、諭旨解雇または懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、出勤停止または降格とすることがある。
 1.正当な理由なく無断欠勤14日以上におよび、出勤の督促に応じなかったとき
 2.採用を左右する重要な経歴を詐称して雇用されたとき
 3.正当な理由なくしばしば業務上の指示・命令に従わず、職務の遂行を妨げまたは職場秩序を著しく乱したとき
 4.素行不良で再三注意をしても改まらず、会社内の秩序もしくは風紀を著しく乱したとき
 5.故意または重大な過失または職務の怠慢のため、重大な災害、交通事故、傷害、盗難その他の事故を発生させ、または業務上の重要な情報を消失させもしくは破壊したとき
 6.会社および会社の職員または著者および関係取引先を誹謗もしくは中傷し、または虚偽の風説を流布もしくは宣伝し、会社業務に重大な支障を与えたとき
 7.暴行、脅迫、傷害、窃盗、横領、背任行為など刑法等の犯罪に該当するまたはこれに類する重大な行為をしたとき
 8.数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度などに関し改善の見込みがないとき
 9.就業規則第2章(服務規律)に違反した場合であって、その事案が重大なとき
 10.その他前各号に準ずる行為があったとき

第41条の5 職員に諭旨解雇または懲戒解雇に該当する事由がある場合、当該処分について調査または決定するまでの間につき、3カ月以内を限度に自宅待機を命ずることがある。
 ② 前項の自宅待機の期間中は、平均賃金の60%以上を支給する。ただし、事故発生または不正行為の再発のおそれがあると会社が判断したときは、給与を支給しないことがある。

第41条の6 会社は当該職員に対し、第41条の2に定める懲戒処分のほか、会社の受けた損害の全部または一部を弁済させる。ただし、情状により損害の弁済を軽減または免除することがある。
  ② 前項に定める損害の弁済は、退職後も免れることはできない。

第41条の7 会社は、他の職員の懲戒に該当する行為に対し、ほう助または教唆もしくは加担したことが明白な職員については、本人に準じて処分する。

第41条の8 所属の職員が諭旨解雇または懲戒解雇に該当する行為をしたときは、当該管理・監督者に対しても、相応の処分をする。ただし、管理・監督者がこれを防止する努力をしたとき、あるいは、責任を問うことができないと判断されるときは この限りではない。

第41条の9  同一の事実関係によって、職員は二度懲戒処分を受けることはない。
 ②  この罰則に関する規定が改定されたことによって、新たに設けられた懲戒事由が遡及して適用されることはない。>

この懲戒解雇規定についてはこのブログでも既に批判してきたが、そこでの論点に加えて、会社の解釈次第でどうにでもできる根拠で懲戒解雇すらできる点も重要である。「ほう助または教唆もしくは加担」したとされる根拠も、会社が「明白」だと考えるから、というものであり、恣意的である。また、遅刻を繰り返しても懲戒解雇に至りうる。

なお、改定案では、以下の規定も新設されている。

<第64条の2 退職金を受給した職員に懲戒解雇に相当する事由が発覚したときは、会社は、すでに支給した退職金の返還を命じることができ、当該本人はこれに従わなければならない。


3.退職・解雇

退職に関する現行規則の第48条においては、「職員が退職を希望するときは、予めその理由を記した退職願を提出し、会社の承認を受けること。」とのみ規定されているが、改定案では以下の項目が付け加えられている。これでは社員は長時間労働で身体的限界に達しても、辞めることすらできない。

<②  前項の手続きをした者は、会社の承認があるまで従前の業務を誠意をもって遂行し、承認があったときはその日から退職する日までの間に会社の指示に従って円滑に引継ぎをしなければならない。>

また、改定案では、「第48条の2」が新設されている。これは解雇について新しく定めた規定である。

<第48条の2 職員が次のいずれかに該当する場合は、解雇(契約解除を含む)することがある。
  1.特定の職種や地位に従事することを条件として雇用された者で、その職務遂行に必要な能力が著しく欠如しているとき
  2.勤務成績もしくは作業能率が著しく不良で、指導教育するも改善せず、職員として適格性に欠けるとき
  3.勤務態度が不良である、あるいは協調性に欠けるため、就業環境を悪化させ、再三注意しても改善しないとき
  4.第41条3に該当し懲戒処分が複数回行われたにもかかわらず、再度同一事由を行ったとき
  5.就業規則第41条の4に規定する懲戒解雇に相当する行為があったとき
  6.精神もしくは身体に障害が生じ、会社がその程度に配慮した労働の提供を求めても、将来にわたって業務に耐えられないかもしくは会社が求める労働の提供ができないと会社が判断したとき
  7.事業(事業場を含む)の休業、終了、廃止、縮小その他事業上の都合により余剰員を生じ、他に適当な配置箇所がないとき
  8.天災・事変その他これに準ずるやむを得ない事由のため事業の継続が困難となったとき
  9.その他前各号に準ずるやむを得ない事由のあるとき

第48条の3  会社は、前条に基づき職員を解雇するときは、30日前に予告するか、平均賃金の30日分に相当する予告手当を支払う。この場合、平均賃金を支払った日数だけ予告日数を短縮することができる。>

ここでも、会社は極めて恣意的な根拠で社員を解雇できるようになっている。


4.休職

休職に関しては、現行規則では「傷病その他やむをえない理由で欠勤3カ月を経過した場合」の他は社員の自発的な意志にのみ基づいており、会社の命令で社員を休職させる、などということが起きる可能性はほぼない。休職者の復職も第45条で「傷病による休職者が復職する場合には、予め医師の診断書を添えて出勤届を総務部に届け出ること。」と規定されているのみであり、復職が会社から拒否される可能性もほぼない。

しかし、改定案では会社が職員に休職を命じることができるようになっている。それにより、会社が社員について「言動や状況等」から病気であると主張すれば、職員を休職・退職に追い込むことができるようになっている。まるで全体主義国家のようだ。

まず、改定案では、以下のように規定されている。

<第42条 会社は、職員が傷病またはその他の理由で勤務できないときは休職を命じることができる。>

今回、改定案とともに提案されている付属規則「休職・復職規定」では、以下のように、社員は「その言動や状況等」がおかしいと会社が主張すれば、医師の診断を受けて、診断書を会社に報告しなければならない(以下の条文は付属規則「休職・復職規定」のもの)。

<(受診勧告)第4条 会社は、職員に対しその言動や状況等から心身の健康管理上医師の診断が必要と判断されるにもかかわらず、本人が診断を受けない場合には、受診を指導し勧告することができる。

(受診命令)第5条 職員が前条に定める受診勧告に応じない場合であって、当該職員の心身の健康管理上または職場の管理上必要と判断される場合には、会社は当該職員に対し会社の求める事項について医師の診断を受けて、その結果を記した医師の診断書を会社に提出するよう、命ずることができる。

「休職・復職規定」の第3条で、「職員が次のいずれかに該当したときは休職を命じることができる」としているが、その中には、
<2.精神または身体上の疾患により一定期間にわたり通常の労働提供ができないと会社が判断したとき>
<6.前各号のほか、特別な事情があって会社が休職させることを必要と認めたとき>

という場合が挙げられており、会社が、職員に対して恣意的に休職を命じることができるようになっている。したがって、提出された診断書がどのようなものであれ(あるいは診断書の提出を待たずに)、会社の判断により休職を命じることができるのである。

また、精神または身体の疾患を理由として休職している(させられている)社員は、会社が命じる医師による受診を行わなければならない。

<第9条 第7条第1項第1号の休職期間中、会社は必要に応じて社員に会社が指定する医師等による受診を命じることができ、社員は正当な理由なくこれを拒んではならない。
 ②  会社が特に必要と認め、診断書を作成した医師(主治医であると否とを問わない)に対する面談等による病状の確認を求めた場合には、社員はこれに応じなければならない。>

また、休職中の社員は、「原則として1カ月に1回の割合で自己の病状等について電話またはメール等により所属長に報告しなければならない」(第8条②)

そして、精神または身体の疾患を理由として休職した職員の復職は、無条件ではなく、「休職の理由となった疾病等が通常の業務を遂行することに耐え得る段階まで治癒したことを客観的な資料等をもって会社に示さなければならない」とされている(第12条の1)。

「客観的な資料等」とは、「主治医の診断書および会社が指定する医師等の診断書もしくは会社が指示した書類」である(第12条の2)。つまり、会社が指定した医師が「復職不可」と診断すれば復職できないということである。

また、仮に会社が指定した医師が復職を可としても、第13条の1では「復職の諾否の判断は会社が行う」と規定されているので、会社は復職を拒否できる(なお、この第13条の1の規定は、休職者のうち、精神または身体の疾患を理由とした休職者以外にも適用されうる規定である)。

仮に復職できたとしても、第14条の1では、「復職した職員が、復職後6カ月以内に同一または類似の傷病により欠勤もしくは通常の労働の提供ができない状況に至ったときは復職を取り消し、直ちに休職させることができる」と定めている。つまり、復職後でも、第9条の2にあるように、会社が、会社が指定した医師による受診を命じた上で、そこで「通常の労働の提供ができない状況」だと診断されれば、また休職しなければならなくなるのである。

そして、「職員が所定の休職期間を満了し、復職できないときは就業規則第46条の定めにより退職とし、職員としての身分を失う」(第15条)こととなるのである。

**********

強調しておかなければならないのは、「良心的出版社である岩波書店にとってこんな改定案はふさわしくない」ということではなく、この改定案こそが、岩波書店の経営陣の実像と、彼らが推進してきた<佐藤優現象>その他の現象の性格を体現している、ということである。

(金光翔)


[ 2015/04/02 00:33 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)

続・岩波書店の就業規則改定案について  

岩波書店の就業規則改定案のうち、「岩波書店の著者」への「誹謗もしくは中傷」を懲戒解雇に関係づけることが不当であることは言うまでもないが、そのことを端的に示す例をいくつか挙げておく。

1.

『世界』2003年2月号に、「本誌編集部」を執筆者として、「朝鮮問題に関する本誌の報道について」と題した一文が掲載されている。当然、文責は、当時の編集長である岡本厚・現社長にある。その中に、以下の一節がある(強調は引用者、以下同じ)。

<2002年9月17日の日朝首脳会談で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日国防委員長の口から日本人拉致の事実が明らかにされ、8名の死亡が告げられて以来、日本のマスコミは拉致問題一色となった。それは、ようやく入り口にたどりついた日朝交渉そのものも中断させてしまうような、異様ともいうべき事態を作り出している。日朝間の交渉を入り口にまで導いた外交官が、あたかも北朝鮮の利益を図っているかのごとく罵倒され、これまで日朝の正常化のために力を砕いてきた政治家、政党、組織、言論などが、あたかも「北朝鮮の手先」であるかのごとく攻撃されている。
 長く朝鮮問題を取り上げてきた本誌も例外ではない。
 北の政府に同調的だった、賛美していた、あるいは韓国の人権問題にはあれだけ力を尽くしたのに、北の人権問題に無関心なのはおかしい云々。中には本誌が韓国の民主化運動を取り上げたのは、北を支援するものだったのではないかと邪推したり、本誌と岩波書店を<岩波書店、『世界』はいかにして金王朝の「忠実なる使徒」と化したか>などと鬼面人を驚かすタイトルで攻撃する研究者もいる。
 本誌は、これら論者の個々の指摘に対して、反論や弁解をする必要は認めない。これらの批判は、記事の時代的背景を無視して引用したり、乱暴な曲解を施した上でのきわめて意図的なキャンペーンであると考えるからだ。>

ここで「<岩波書店、『世界』はいかにして金王朝の「忠実なる使徒」と化したか>などと鬼面人を驚かすタイトルで攻撃する研究者」と書かれている人物は、『諸君!』2003年1月号に「岩波首脳、『世界』はいかにして金王朝の「忠実なる使徒」と化したか」というタイトルの文章を寄稿した鄭大均を指すことは明らかである。名誉棄損は、名前を出さなくても、文脈や状況でその人物であることが明らかであれば成立する。

鄭大均は、岩波書店が刊行している雑誌『思想』823号(1993年)に「韓国ナショナリズムの性格」と題した論文を寄稿しており、また、2013年10月には岩波現代文庫の1冊として『韓国のナショナリズム』を刊行している。岩波書店は、岩波書店の雑誌等の刊行物に一度でも寄稿していれば「岩波書店の著者」だ、としているので、鄭大均はれっきとした「岩波書店の著者」である。

岡本社長は、鄭の文章について、「記事の時代的背景を無視して引用したり、乱暴な曲解を施した上でのきわめて意図的なキャンペーン」だと言っている。これは、「誹謗もしくは中傷」に当たらないのだろうか。岡本社長の主張が真実であれば「誹謗もしくは中傷」には当たらないと言えると思われるが、鄭の当該文章は、三段組み9頁にわたるものであり、ここでの鄭による批判の全てが「記事の時代的背景を無視して引用したり、乱暴な曲解を施した上でのきわめて意図的なキャンペーン」と言うのは難しいと思われる。

例えば、鄭は「北の「過去」が悪しきものであるなら、当然のことながら、長い友好関係を維持してきた『世界』にも問われるべきことが多々あると思われるのだが、それはなされないのか」と批判しているが、これは極めて多くの人間が当時感じた疑問であろう。そして疑問に対してはレッテル貼りすることなく答えればよいのではないか。鄭の文章を「記事の時代的背景を無視して引用したり、乱暴な曲解を施した上でのきわめて意図的なキャンペーン」などと主張するのは、「誹謗もしくは中傷」に該当しないのだろうか。

また、岡本社長は、当時、「岩波書店の著者」への誹謗中傷が懲戒解雇に関連付けられるという規定が就業規則にあった場合、鄭大均に関する上記の一節を書けたのだろうか。

鄭は当該文章の中で、「岡本厚氏のようにこの言葉(注・「強制連行」という言葉)を積極的に使い、その政治的プロパガンダをなおも推進しようとする者がいる。」「氏(注・岡本社長)自身も金王朝の忠実な使徒といわれてもおかしくないのではないか。」と書いている。このように書いている人物も「岩波書店の著者」であるが、それでは「岩波書店の著者」なる概念に内容的な意味は全くないのではないのか。ましてや、それへの批判(解釈次第で簡単に「誹謗もしくは中傷」とされる)が懲戒解雇と関連付けられるなど、支離滅裂ではないのか。仮に「プライベートで著者を誹謗中傷するのは許されないが、自社の出版物上でならば許される」というのならば、なぜ自社の出版物上で許されるものがプライベートでは許されないか(しかも、日本国憲法や世界人権宣言で保障されている権利であるにもかかわらず)、明確な理由を説明してもらいたいものである。

なお、鄭大均といえば、2007年11月28日に宮部信明・編集部長兼取締役(当時。現在は専務取締役)に対して私が、「私は、今後の市民としての活動において、在日朝鮮人としての立場から、鄭大均を批判対象とする可能性が高い」と述べたところ、「まあそうだろうなと思いますね、それは」と言った上で、「岩波書店の著者」については、「イデオロギーの違いは関係ない」と述べている。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-16.html

つまり、今回の就業規則改定案で、岩波書店は、鄭大均のような人物に対して在日朝鮮人が怒ることを明確に認識しておきながら、それに対して正当な(?)批判から少しでもずれれば「懲戒解雇」するぞ、と脅しているわけである。『関東大震災 「朝鮮人虐殺」の真実』(産経新聞出版、2009)などで関東大震災での朝鮮人虐殺を否定した工藤美代子も「岩波書店の著者」である(1991年に『悲劇の外交官』を岩波書店より刊行)。こうした人物に対して批判したいという在日朝鮮人として当然の欲求を会社は「懲戒解雇」の名の下に抑圧しようとしている。

在日朝鮮人である愼蒼宇氏、鄭栄桓氏、ZED氏といった人々は、今回の会社の就業規則改定案が「民族差別」であると批判している。上の点からも、「民族差別」ということになるのではないか、という疑問を持たざるを得ない。

http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-50.html

http://kscykscy.exblog.jp/24259534/

http://roodevil.blog.shinobi.jp/%E7%A4%BE%E4%BC%9A/%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%BF%AB%E7%94%A8%E2%80%95%E2%80%95%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%9B%B8%E5%BA%97%E3%81%AE%E5%B0%B1%E6%A5%AD%E8%A6%8F%E5%89%87%E6%94%B9%E5%AE%9A

なお、「朝鮮問題に関する本誌の報道について」で鄭大均について実質的に言及されていることは、このブログの読者からの指摘により知った。ここに記して感謝する次第である。


2.

2013年10月に岩波書店から刊行された苅部直『物語 岩波書店百年史3』には、以下の一節がある。文中の「岩波ブックレット」とは1984年12月に刊行された大江健三郎・安江良介『『世界』の40年』である。後に社長となる安江は当時、『世界』編集長兼取締役である。

< 岩波ブックレットでの大江との対談のなかには、そうした状況の変化に対する安江の苛立ちを示しているくだりもあった。吉野源三郎、広津和郎、大内兵衛と、『世界』に縁の深い人々についての思い出を語りあったのち、大江が「しかし戦後四〇年の『世界』の歴史の中で一番劇的な人間というと、やはり清水幾太郎氏なのじゃないかと思うんですね」と水を向けると、安江は清水に対する激しい非難の言葉を述べはじめる。

 清水さんはご存じのように、六〇年安保の頃から非常に急進的な主張に変わり、その後また大きく反転して、広島・長崎の原爆体験をしている日本だからこそ、日本は核武装すべき、核武装し得る最大の資格をもっているのだという、グロテスクな発言をされるようになった。この過程は信じがたいと言うべきか、あるいは劇的というべきか、いずれにしても転々とした軌跡ですね。しかし私には、レトリックが先に出て、からまわりしてきた知識人ではないかという見方があります。

 この対談の時期には清水はまだ元気で活躍中であること、また岩波新書から出た清水の著書『論文の書き方』(一九五九年)と、訳書であるE・H・カー『歴史とは何か』(一九六二年)がベストセラー、ロングセラーとして版を重ねていたことを考えると、出版社役員の発言としてはかなり大胆な批判である。発言のなかで広津・大内や丸山真男について安江は「先生」と呼んでいるのに対し、二八歳も上で丸山よりも年長の清水は「清水さん」。一九六〇年の安保反対運動のころ、『世界』編集部員として担当したときの経験も語られているが、そのころはきっと「清水先生」と呼んでいたことだろう。「グロテスク」「からまわり」という強烈な表現を用いた内容に加えて、「さん」付けにも、「反転」した清水に対する憎しみがこもっている。>(139~140頁)

安江の清水に対する非難は「誹謗もしくは中傷」とされかねないものであるが、ここでの安江には「岩波書店の著者」への「誹謗もしくは中傷」を問題視する、という発想がそもそも見られない。自身の部下だった岡本厚・現社長が、後に「岩波書店の著者」への誹謗中傷を「懲戒解雇」としようとすることなど、安江には想像すらできなかっただろう。

なお、同書の「あとがき」で苅部は、同書の「直接の担当」として、現・常務取締役である小島潔の名前を挙げている。小島は就業規則改定案を作成する際に、同書のこの一節についてどう考えたのだろうか。小島も、安江編集長の下で『世界』編集部員だった人物である。

また、以前書いたように、岩波書店の元社員の小野民樹氏は、岩波書店在籍中に発表した『60年代が僕たちをつくった』(洋泉社、2004年5月刊)で数多くの岩波書店批判、社員(経営者)批判、「岩波書店の著者」批判を展開している。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-18.html

この本の出版に関して、小野氏は会社から何の処分も受けていない。同書は刊行直後、社内でも大いに話題になり、毀誉褒貶があったが、私の知る限り、「岩波書店の著者」への誹謗中傷を理由として懲戒(解雇)の対象とせよ、という主張は聞いていない。当時はそうした発想すら、そもそも誰も持っていなかったのではないか。もしそうした認識が社内にあったならば、編集部部長まで務めた小野氏が、同書を在籍中に刊行するはずもないだろう。


3.

以上、見てきたように、「岩波書店の著者」への誹謗中傷を懲戒解雇の対象とするという発想は、かつての岩波書店では考えられすらしなかったものであるように思われる。朝日新聞や毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞、多数の地方紙、諸雑誌などを含む「関係取引先」への誹謗中傷が懲戒解雇の対象となるなど、かつてならば、冗談の類と思われただろう。言論封殺のために便宜的に作られた規定であるとしか言いようがないのではないか。

しかも、「岩波書店の著者」の定義自体がどんどん拡大しているのである。2007年11月28日時点の会社の説明では、「岩波書店から1冊でも本を出版するか、または、『世界』等の岩波書店の雑誌で何回か記事を書いた人」であった。これが、2012年2月の縁故採用に関する騒動以降は、岩波書店の雑誌等の刊行物に一度でも寄稿していれば「岩波書店の著者」ということになっているのである。この間、定義の変更に関する説明は何もない。

今回の就業規則改定案は、岩波書店の経営陣が、「言論・表現の自由」の価値や、「反差別」の重要性など全く信じていないことを露呈させたように思われる。

(金光翔)
[ 2015/04/01 02:21 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)

浅野健一氏「これでは岩波版の<特定秘密保護法>だ」 

当ブログの記事「岩波書店の就業規則改定案について」で浅野健一氏からコメントをいただいたが、これは字数の関係上、かなりの部分を削らせていただいたものだった。今回、全文を掲載させていただいたので、是非ご一読いただきたい。上記記事では取り扱われていなかった就業規則案の条文・問題点にも詳しく言及されている。

浅野健一「これでは岩波版の<特定秘密保護法>だ――岩波書店就業規則改悪問題」
http://gskim.blog102.fc2.com/blog-entry-29.html






[ 2015/03/30 23:32 ] 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)


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